Lovely Trip

【第11章・・<目指せインレー湖>】

首都ヤンゴンから北へ約400キロ。インレー湖を目指すことにした。全くノープランではあったが、水がある場所へ行きたくなるのは島国出身の宿命なのだろうか。

タクシーの運ちゃんはバスターミナルの場所を知らなかったが、懸命に探してくれた。なぜか日本語を少し話せたが、微妙に全て命令口調だったのが印象的だった。確かに日本語はかなり難しいと思う。以前パックツアーでグレードの高いホテルに泊まった際、タクシーを捕まえてくれたドアマンに「どうぞこちらへ 乗れ」と言われ非常に驚いたものだ。

「何かのイベントがある」というのは本当だったらしく、インレー湖へのバスのチケットは全てfull正規で取ることは出来なかった。結局割高ではあったが、10時間後の闇バスで行くことになった。ちなみに通常料金の約2.5倍。

行き先により、かなりのバスターミナルがあったが、偶然闇バスが到着するらしいターミナルの前にはたばこ屋さんがあり、そこの看板娘が構ってくれた。彼女たちは広いターミナルと近くの町を案内してくれミニ観光を楽しめた。彼女たちがショップで売っている物はタバコといっても赤い石灰や何かの実、刻みタバコが入っており、吸うのではなく噛むタイプのやつだ。唾液が赤くなりツバを吐き続ける物。他国で何度か試した事はあったがここのはとにかく不味かった。92とか45とか番号が振られており味が違うらしい。

軽く予定の時間から3時間ほど遅れて真夜中にバスは到着した。皆我急げとばかりにバスに飛び乗る。到着したバスは日本製の東急バスだった。安心するようでもあり、なんとなくむなしい。道中すれ違った、外国人観光客を乗せたバスは真っ青な西武バスだった。

チケットの座席番号は41番だったが、バスの座席は36番までしかなかった。一瞬ひるんだが運転手に猛抗議をした。「床に座れ」と言われたが冗談じゃない。今から何十時間かかると思ってるんだ。どう考えても現地の人の何倍も支払っているのだ。他の乗客が野次を飛ばしてくるが気にしない。最終的に助手席を奪い取った。運転手がうんざり表情で「君は今からNO.1の席だ。これで文句ないでしょ」だって。長時間のバスの旅では絶対にひるんではいけない。以前自分の座席がトリプルブッキングされていた時があり、訳が分からないまま、数時間以上立たされた事がある。アジア全般ではとにかく偉いのは運転手で、運転手にアピールした者勝ちなのである。

道中、言葉が全くわからなくても理解できてしまう映画が上映された。5人組みの1人が使用人を好きになり、あの手この手を使って彼女の気を引こうとする。突然彼女がなぜか砂漠で真っ赤なドレスで踊り出す。そこに突然バッファローが現れ、赤に興奮したバッファローが彼女に突進する。間一髪で彼が白のペンキをかけるという内容(実際のところ牛は赤の色を認識できるわけではなく、闘牛ではひらひら舞うマントの動きに反応しているようだが、この映画ではそんなこと一切関係なしだ)。インド映画同様ラブシーンは全てダンス。乗客はもちろん大興奮で大爆笑。
 
睡眠のサポートか妨害なのかとにかく信じられないぐらいの音量で音楽が流れだした。やっと寝付いたところで、今度はあまりの寒さで目を覚ます。なぜか全員が窓を全開にしている。習慣なのか暑いのか意味が解らないが勘弁して欲しい。薄手の長そでを着てはいたが、大夫北の方へ来ていたので凄まじい寒さだ。しかもまだ朝の6時。
「いつ着くんだろう?」寒さに震えながら、人生のハイライトを回想するが心もとないほど短い。すぐに終わってしまう。歌を歌ってみるが、ほとんど歌詞がわからない。大好きな尾崎の歌ですら歌えなかった。随分適当に生きてきてしまったものだ。


ターミナル内の大衆食堂。凄く広かった。


暇そうな私を構ってくれた、たばこ屋の少女。

何はともあれ、目的地に近づきバスを降りることにする。私が乗ったバスは始めからインレー湖行きではなかったらしく、だだっ広い管制道路で降ろされた。見渡す限り、ほのかな田園風景が続き心を和ませてくれたって言いたいところだが、身体は疲れ切っておりそんな情緒な気分には慣れない。タクシーやピックアップバスは止まってくれるが、いかんせん高すぎる。よくあることだが、ここまで何十時間もかかって乗ってきたバスの代金と、ここからわずか数十分で着く距離の金額が同じなのはどうも納得がいかないものである。私はヒッチハイクを考えたが、いくら穏やかな田舎であっても、そんなお人よしさんは皆無だった。無理もない私は黄金の国、日本出身なんだから。
格安で乗用車に乗せて貰い、無事インレー湖に着くことが出来た。


真夜中の休憩所で食べた食事。シナチクが妙に美味しかった。


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