Lovely Trip

【第15章・・<値段のないレストラン>】

早起きの上、トレッキングのため歩き回った私達は、既に徹夜明けぐらいの疲労感があった。しばし宿でまったりした後、桃ちゃんと夕日を見るために手漕ぎボートでポイントに向かう。おっちゃんのボートには何度か乗ったこともあり、既に顔馴染みだ。モーターとは違い、ゆっくりではあるが水面すれすれから見る景色はまたひと味違う趣だ。

どこに行っても、水がある場所は貧しくても豊かである。魚も捕れるし、農作物が育つからだ。とにかくあまり食べ物に困らないことはとても良いことに思える。どこかで収穫し損なったトマトが一斉に流れてきた。傷があるトマトはそこから水を含んでブクブクなっているが、表面が切れていないトマトは真っ赤で熟しておりうまそうだ。私はどうしても写真が撮りたくなった。桃ちゃんにお願いをする。「食べて」不安そうな彼を適当に言葉で後押しをした。桃ちゃんは食べてくれた。2つも。ボートのオッちゃんも笑顔で食べてくれた。その場にいたら大爆笑ですよ!! だって流れてきたトマト食べちゃってるんだから。


トマトを食べる桃ちゃん!!。

桃ちゃんがどうしても、水上のタバコ工房に行きたいという。話を聞いてみると、そこで働いている女の子に恋をしてしまったそうだ。まもなくここを出る彼にとって最後のチャンスとか。タバコ工房に行ってビックリ。彼女は驚くほど可愛くなかった。さんざん話を聞かされていた私はあせったが、なんとか自分を見失わなかった。作戦通り桃ちゃんはミャンマー語でI love you を連発するが、全く相手にしてもらえなかった。

さらに桃ちゃんを傷つけたのは、彼が昨日も、一昨日も来たことすら忘れていた事だ。
私が仲介に入り、桃ちゃんは彼女からタナーカを顔に塗ってもらえることになった。彼の幸せそうな顔は今でも覚えている。「手の繊維がきめ細かくて」って嬉しそうに話してくれた。居合わせたフランス人の親子がお礼に小さな香水を渡していた。渡す物がない彼は最高のスマイルで握手を求めたが、軽くかわされ彼は散った。


タバコ工場。完全手作りです。

夕食を食べながら今夜桃ちゃんがどうするか3人で話しあう。もう1人はここで知り合った北海道出身の通称ボーズ。彼は初めて会った時には、そこそこのロン毛だったのだが、次の日には何に触発されたか知らないが1リンぐらいのボーズになっていた。

まずはレストランから。非常に変わった場所で外見はそうでもないが中はシックで年輩の欧米人やカップルが食事をしていた。店内は暗くテーブルにはローソクが立てられている。中世の舞踊会のようだ。客はそれほど多くはないが、それなりにテーブルは埋まっていた。

小汚い私たちは、少し場違いのように感じたがジャパニーズをそれとなくかもちだし、おろおろしながらテーブルに着いた。料理はボリューム満点で、御飯にスープ、エッグカレー、野菜炒め、野菜の煮込み、ポテトフライ、ゴマとほうれん草の和え物など、コースのように運ばれてくる。驚いたことにお皿が空くとどんどん追加を持ってきてくれるのだ。

このレストランには、料金の設定がない。精算の時に払いたい金額を払えばいいのだ。ドリンク代は別途支払うが、食事に関しては満足度でよいらしい。日常を、ある一定の決まりの中で生きてきた、典型的な日本人3人組みにとっては非常に難しい。やはり欧米人のカップルも精算の際にはかなりもじもじしていた。正直味は大満足だが、いかせん金がない。正確には金はあるが抑えたい。そんな中、笑顔で500チャット(60円)出した桃ちゃんには感服した。一瞬キャッシャーも戸惑っていたが、すぐにいつもの接客スマイルに戻ったので安心した。ちなみに私は2500 チャット払っておいた。それでも十分少ないと思うが。


値段のないレストラン【フォー・シスターズ・レストラン】


【バックナンバー】


★アジア「裏」旅行の感想は「ちょー広場」まで!